大腸カメラ(下部内視鏡)とは
大腸カメラ(下部内視鏡)は、肛門から内視鏡を挿入し、小さなカメラで直腸から盲腸までの炎症、ポリープやがん、潰瘍などの病変を調べるのに使われる検査機器です。
他の検査では識別困難だった大腸の色調変化や粘膜面の変化をとらえることができるため、小さなポリープの発見も可能です。
また、疑わしい部位が見つかった場合は、生検(ごく小さい組織片を摘まみ出し、顕微鏡などで詳しく調べること)のための組織採取をすることができます。
鎮静剤を用い、また炭酸ガスを使用し、苦痛を最小限に抑えた内視鏡を行います
第一に苦手意識がある方が楽に検査を受けられるよう、当院では鎮静剤を使った検査を積極的に行っています。
ウトウトと眠っているような状態で検査を受けられるため、ほとんどの場合はまったく苦痛や不快感を覚えることがありません。
鎮静剤の効果には個人差がありますが、深くリラックスしているため、検査もスムーズに進み、時間も短縮できます。
鎮静剤を使用した場合は当日の車やバイク、自転車の運転ができませんのでご注意ください。
第二に炭酸ガス送気を行います。
主に大腸内視鏡は送気を行い検査をしますが、空気による送気では検査中、検査後の腹部膨満感、吐き気などが出現することがあります。
炭酸ガスは空気より約35倍吸収が早く、検査中、検査後に出現する腹部膨満感、吐き気を軽減します。
第三に先端フードを使用します。
先端フードを装着して検査することにより、大腸のひだの裏の観察を容易とし送気が少なくなるメリットもあります。
検査の手順
検査直前の準備
大腸をきれいにするために、下剤を数回に分けて飲んでいただきます。
※前日から下剤を飲む場合もあります。
大腸カメラ検査の流れ
- 鎮静剤を注射します。
- 左側を下にしてベッドに横になり、検査が始まります。
- 肛門から内視鏡を挿入します。
- 医師がモニターに映る腸の内部を、隅々まで観察します。
- 検査は数十分で終了します。
※検査中は、できるだけ体の力を抜き、リラックスしてください。
検査後
- 検査が終わったら横になって休んでいただきます。
- 検査の際に腸内に空気が入っておなかが張ってくるので、ガスを出してください。
- 後日、外来にて検査結果をお伝えします。
- ポリープ切除などの治療をしなかった場合、飲食は1時間後から可能です。
- 検査当日のお風呂はシャワー程度にし、車の運転や激しい運動は避けてください。
- 検査終了後、気になる症状がある場合は、すぐに医師にご相談ください。
こんな症状の際に大腸カメラをお勧めします
- 血便
- 便通の異常(便秘、下痢)
- 腹痛、膨満感
- 貧血を指摘されている
- 顔色が悪いと言われる
- 急な体重の減少
- 便潜血検査で異常を指摘された
- 大腸ポリープや大腸がんを治療したことがある など
大腸カメラで発見される消化器系の病気
大腸カメラは、以下のような疾患の検査・診断に有効です。
- 大腸ポリープ
- 大腸がん
- 炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎など)
- 大腸憩室症(腸管の内壁の一部が外側に向かって袋状に飛び出した状態)
- 虚血性腸炎(大腸の血流障害によって大腸粘膜に炎症や潰瘍が生じ、突然の腹痛や下痢、下血をきたす疾患) など