マロリーワイス症候群
2024.03.20マロリーワイス症候群は、激しい嘔吐によって胃と食道の結合部の近くの粘膜に裂傷が生じる疾患です。
主な特徴は頻繁な嘔吐によって胃の内容物が逆流し、その際に食道と胃の結合部にある粘膜が損傷することです。
アルコールの乱用や飲み過ぎ、または過度のストレスによって引き起こされたり、妊娠中や激しい嘔吐の頻度が高い方、消化器系の疾患を持つ方にも見られることがあります。
マロリーワイス症候群の主な症状は、頻繁な嘔吐の後に急性の上部消化管出血が現れることです。吐血の量は軽度から中等度であり、通常は自然治癒します。再発のリスクは低く、大部分の患者は一過性の症状として終わります。
症状
- 嘔吐と吐血
- タール状の便や、黒っぽい便になる
- 貧血による立ち眩み
- みぞおちの痛み
原因
特に、アルコールの乱用、飲みすぎによる激しい嘔吐が関係しています。
激しい嘔吐によりお腹に圧力が上がり、一時的に食道と胃のつながる部位周辺に対して大きな負担がかかります。
これにより胃食道接合部の粘膜が裂けてしまい、その近辺に存在する静脈や動脈が損傷を受けることで出血します。
また、妊娠中のつわりでも発症することがあります。
検査方法
マロリーワイス症候群の診断には、主に内視鏡検査が用いられます。
内視鏡を用いて胃と食道の内部を直接観察し、裂傷や出血の有無、粘膜の異常を評価します。胃食道逆流症、薬剤、感染症などでも裂傷や出血がみられることがあるため、胃内視鏡検査は有用です。
治療方法
安静を保ち、食事摂取を控えます。これに加えて、胃酸抑制薬が処方され、胃の酸の分泌を抑制し粘膜の治癒を促進します。
重度の出血や脱水症状がある場合には、静脈内輸液や血液補給が行われます。
また、内視鏡的な処置が必要な場合には、内視鏡を使用して裂傷を凝固させるなどの処置が行われます。
マロリー・ワイス症候群は多量の出血が出ない限り基本的に良好です。
しかし、出血が大量になると貧血やショックなどの深刻な合併症を引き起こす可能性がある重篤な病気であり、早期診断・早期治療が重要です。